mimitakoyaki

ぼくたちのムッシュ・ラザールのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

3.6
10年ほど前のカナダ映画です。
モントリオールの小学校の教室で先生が自殺し、生徒達は大きなショックを受けます。
亡くなった先生の代替で来たのは、アルジェリア人のラザール先生。
ラザール先生自身も大きな喪失と痛みを抱えていて、生徒達の傷ついた心に寄り添い向き合っていく話です。

カナダの映画で見たのはドラン作品がほとんどで、他はあまり知らないので、カナダの学校の雰囲気を知れたのは良かったです。
小学校なんですが制服があって、事を荒立てないように蓋をするところなんかは、日本と似てるなと思いましたが、授業が文学的な感じがするし、自分で考えた事を発表する場面も多く、映画で見る外国の授業は高度に見えます。
あと、フランスほどではないにしても、生徒も様々なバックグラウンドの子がいて、移民もたくさんいるんだなと思いました。

ラザール先生は自身の故郷アルジェリアでの過酷な体験と、生徒達のトラウマを重ね合わせ、思い出したり言葉にするのも辛い現実に対して、無理にこじ開けるのでもなく、でもただ蓋をして閉じ込めてしまわないように、生徒のそれぞれの思いを否定せずに寄り添うのが良かったです。
自分自身も大きな喪失を抱えた当事者だからこそだったのかなと思いました。

ドラマチックな展開があるわけでもなく、わりと淡々と物語がすすんでいくのですが、地味ながらもじんわりとした良さを感じる作品でした。

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