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LOOPER/ルーパーのYYamadaのレビュー・感想・評価

LOOPER/ルーパー(2012年製作の映画)
3.3
【タイム・パラドックス佳作選】

◆パラドックス発生の方法
〈タイム・トラベル〉
 →30年前の過去にしか行けないタイムマシンにて、近未来の犯罪組織から送られてくる殺人対象者を殺害し、同送の報償を得る。

〈見処〉
①ライアン・ジョンソンが描く、
 近未来SF
・『LOOPER/ルーパー』(Looper)は、2012年に製作されたSF映画。
・舞台は2044年のカンザス州、ジョー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)は、未来の犯罪組織の依頼で過去にタイム・トラベルしてくる標的を処理する殺し屋、通称「ルーパー」。
・しかしある依頼で処理することになったのは、30年後の未来からやってきた自分自身(ブルース・ウィリス)。未来の自分を殺せずに取り逃がしてしまったジョーは、彼が標的にしている相手が30年後に未来の犯罪王「レインメーカー」となる幼い子供であることを知る…。(wikipediaより)。
・本作の監督・脚本は、長編作品3本目となった新鋭ライアン・ジョンソン。本作の成功を受け、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)の監督に抜擢された。

②自分自身との対峙
・本作で特徴的なのは、犯罪組織の証拠隠滅のため、殺し屋自身を30年後に殺害予告していること(「ループを閉じる」)
・数多のタイムトラベル作品においては、自分殺しは御法度と描かれているが、本作の場合は、「過去の世界」で「未来の自分」と対峙している点が斬新的。未来の自分は、過去の自分を殺害すると自分の存在も消失してしまうため、殺害の双務関係にはならない。
・本作では、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリスの「新旧ジョー」による、ダイナーの会話シーンが印象的である。

③結び…本作の見処は?
○: 上記②のとおり「自分殺し」を成立させた脚本が特徴的。タイムパラドックスに関する世界観は「並行世界」が機能していない『バタフライエフェクト』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に近い。
○: 「ジョー」が「オールドジョー」に至る30年の経緯を垣間見れる。
○: 近未来を描いているが、劇中に登場する乗用車や銃器はオールド・タイプが多く、リアリティー重視の演出となっている。
▲: 予算都合だろうが、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットがブルース・ウィリスに至る容姿上の変化に乏しく、本作の見処となるべき機会を逸している気がする。
▲: ラストシーンのジョーの行動は「矛盾」していると思う。
×: 終盤に登場する念動力「TK」にて、ストーリーが散漫になっている。「TK」がなくても一端の脚本家ならば、品質を落とさず、ストーリーを成立させることが出来るはず。

・本作は駄作ではなく、エメリーブラントやポール・ダノなどの配役も豪華で見処も多い。
・しかしながら、自分がライアン・ジョンソン嫌いであることもあろうが、本作の高評価が、後に「スター・ウォーズ・サーガ」を壊滅的状況に追いやった史実を改変して欲しい。
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