ねこじた

パフューム ある人殺しの物語のねこじたのレビュー・感想・評価

4.0
Qにメルヴィル。
配役のツボを押さえて来るベンウィショーの出世作、膝を揃えて再鑑。原作ファン。

嗅覚の話しだが、視覚効果に優れてる。印象派の画家さながら絵画調な映像美。

香りを受ける様をファンタジー調でなく、例えば、脇汗で表現したりしてゾクゾク来る。

台詞は少なくし、指のショットは多くする。野生的なエロスの絶妙な演出。
心の交流場面、ほぼ無いのも良い。

前半と後半では光の使い方が真反対。
前半は暗い背景で、女性に不慣れな様子の可愛いグルヌイユ。

影を消し、後半は明るさを全面的に出す。そこに、女も殺人も、ただ香水を作るための副産物とした邪悪なグルヌイユが現る。
激変のコントラストは、とても楽しい。

終盤、トランス状態の群衆による愛の交歓。香り立つ裸体の洪水。恍惚の乱交。体育館に毎週集合して、猛練習したらしいよ(笑)

初鑑では気に留まらなかったけど、殺害を受け入れたかのようなローラの強い眼差しが刺さった。
迷路でのキスの時も感じたのだが、ある意味、グルヌイユを彼女の救世主としたのかも。この辺、原作には無いが、監督が彼へ示した愛情のような気がする。
映画では、愛し愛される自分には出逢えぬ絶望感を軸にした悲劇性が強め。

しかし、ダスティンとアランは、18世紀のズラ似合うね、めっちゃ貴族(笑)
この時60才超えたダスティホフマンの遊び心満載の演技は、まだ若いベンより可愛いさが上回って必見です。
ねこじた

ねこじた