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舟を編むのmingのレビュー・感想・評価

舟を編む(2013年製作の映画)
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作品全体を通して色んなものに対する温もりを感じた。

石井裕也監督は「夜空はいつでも最高密度の青色だ」での言葉選びが簡単には自分に馴染まないけどスッと落ちていく感覚があり、今回の作品で"言葉"というものを題材にしており大切にしているんだろうなと思った。

この作品を見て言葉というものが如何程に素晴らしいかが伝わった。人間同士、家族ですらお互いが何を考えているか分からない。だからこそ言葉にして相手に伝えるという事の大切さを改めて実感した。
映画の中で馬締さんが相手に言葉で自分の思いを伝えるシーンが何回もあった。不器用だし上手に伝えられなくても相手にちゃんと伝えようとする姿勢や言葉選びに人間性がとても表れていた。

また編集部さん達の仕事への姿勢がとても好きだった。流行りのものや若者の存在は社会的な面(教育や政治など)で軽視されがちだと感じていた。だからそういう面を勝手に遠ざけていた。だけどPHSをすぐ買っていたりマクドナルドで用例採集をしていたり自分の中に偏見を持たず壁を作らないところやその柔軟さが自分たちを受け入れてくれているようでとても嬉しかった。それと同時に今の自分は高校生達の流行っているものを軽視する側になっていたことに気づいた。

時は進むし時代は変わる、その時によって流行るものは違うし、できることも違う。
だけどどんな時代でも共通して大切なことは"自分がいいと思えるものを作る"だと思った。その想いが荒波の中でもブレない軸になるし、たとえそれが流行りには合わなくても良いものは時代の中にちゃんと残ってくれる。
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