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トールマンのarinのレビュー・感想・評価

トールマン(2012年製作の映画)
4.3
バイオレンスホラーが照射する貧困問題

子供をさらうというネット初のホラ話・スレンダーマンに着想を得たと思しき本作。

監督は、容赦なく、痛々しく、生々しく、悪夢じみたバイオレンスシーンを撮るとこで有名なパスカルロジェ叔父貴だ。

ヒロインは、子を持つ心優しき女医。彼女が暮らす貧乏白人の街では、唯一のお医者さんとして頼られている。そんな彼女がトールマンの被害に遭ってしまう。

ストーリーが進むにつれて、見る側の現実感が何度も揺さぶられる展開は(うれしいことに)いつもの通り。

作品がにじませているテーマは「貧困の再生産」である。貧困のループから人々を救うには? その問題にいささか乱暴な形で回答を示す。その強引さに到底納得がいくはずがない。じゃあどうしたらいいと思う? ロジェ叔父貴が問いかけてくるようである。
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