菩薩

Playbackの菩薩のレビュー・感想・評価

Playback(2012年製作の映画)
4.4
よく分からない作品に出会った時はなんとしてでもそのハテナを解き明かしたいと躍起になるタイプであるが、これはその朧げな輪郭をそのまま愛したいとの謎の欲求に駆られている。過去と未来との接地点にあたる現在に立ち、その両方に足を突っ込みながらそれでも流れる時間軸に沿って前へと進んでいく。震災で傷んだ道は通行止めとなり車両の侵入を拒むが、そこはそれよりも小さな車輪の為の遊び場として再生を遂げる。曖昧な過去の中にも確実に存在して来た筈の選択、原因と結果の積み重ねこそが人生であり、それを放棄するのもまた生き方なのだろうが、意図してそれを手放し生き続けている者もいれば、意図せずそれを手放す事となり死んだ者もいる。生と死との螺旋階段を下り、過去と未来とのカーブミラー駆け抜け辿り着いた今、声無きフィルムに命を吹き込む様に続く「俳優」としての人生。『やくたたず』の先にこの作品があるのもだし、カラックス『ホーリーモーターズ』と同年ってとこにも強烈な運命的な何かを感じる、しかも三宅唱この時28歳…?つか単純にスケボー乗ってるムラジュンがバチくそカッコいいすね。
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