ひこくろ

女子カメラのひこくろのレビュー・感想・評価

女子カメラ(2012年製作の映画)
4.1
吉祥寺を舞台にした、カメラ女子四人が主役の映画。
しかも、主役の一人は当時AKB48の一員だった光宗薫。

はじまるやいなやおしゃれな感じとハートフルな感じが満載で「ああ、これはこういう映画なのか」と思ってしまった。
実際、映画はその雰囲気をまったく裏切らず、ずっとこの調子で進んでいく。
ところが、観ているうちにだんだんとその雰囲気が心地よくなっていく。

喧嘩はしてもちゃんと仲直りもできる友だち関係。
出てくる人たちはみんな家族仲がよく、全員が幸せを絵に描いたような家族を持っている。
ここまで裏がないのは、完全にきれいごとだ。
なのに、不思議なことに、そのきれいごとが温かく羨ましく感じられてくる。

まっすぐでサバサバとした性格の美樹。
やさしくていつも周囲に気をつかっている彩。
ノー天気で陽気な関西人の岡田。
優等生タイプで負けん気の強い春佳。
キャラの立った四人のやり取りは、わちゃわちゃしていて、見ているだけで楽しい。
まるで全編アドリブなんじゃないか、と思わされるほど自然体に見える彼女たちの姿が、余計にその楽しさを膨らませてくる。
きっと現場はもっと楽しかったに違いない。

小洒落ているし、きれいごとしか描かれないし、物語もかなりご都合主義だ。
薄っぺらい映画だと言われたって、文句は言えないだろう。
それでも、楽しさとやさしさが伝わってくるというのは、大きな魅力だと思う。
光宗薫の独特の雰囲気が、ほかの三人の楽し気な演技と相まって、これをアイドル映画にしていないのにも好感を抱いた。

見ていて楽しく、少なくとも、写真を撮っておくのっていいな、という気持ちは抱かせてくれる。
こんな「きれいごと」があってもいい。
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