Ricola

ハハハのRicolaのレビュー・感想・評価

ハハハ(2010年製作の映画)
3.7
ホン・サンス、やはり斬新な構成と語り口によって観る者に思考を促し飽きさせない…。

この作品では、ムンギョンとチュンシクという二人の男性の会話が主軸となっている。
彼らの会話の様子を白黒の静止画で映し、これらを現在の時間軸としている。
そこでムンギョンとチュンシクそれぞれの、同じ土地でのほぼ同じときの夏の思い出がカラーで語られる。
それぞれの思い出がほぼ交互に語られるが、静止画に戻ってきて整理されるといった感じである。


二人のストーリーが、共通の人物何人かを介して実は繋がりがあるというのが面白い。

二人の会話に音だけが現在へと戻り、傷の舐め合いのようなことやうまくいったときなどに、「乾杯!」や「飲みましょう」とか言って仕切り直して酒坏を交わすのがいい。
この作品のタイトルの「ハハハ」のように、楽観的にとらえて笑うスタイルが一貫してある。

ムンギョンと彼の母の、感情がリンクするというか、互いに影響し合うのがかわいい。
どちらかが怒ったら怒るし、どちらかが泣いたら二人とも泣き始める。

酔っ払って羽目を外すけれど、それが好転するきっかけになるという件、ホン・サンス作でよく見る展開な気がする。
正直あまりに都合のいいことだが、これが彼の願いなのかもしれない…笑

ひと夏の恋だとかよく言うけれど、大人になってからのひと夏の恋は、笑い飛ばしていないとやっていられないのだろうか…とこの作品を観て思った。
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