難解、というよりもそもそもの解がない映画。
映画監督である主人公が、理由は偶然で出来てるからなんちゃらかんちゃら、と語っているので、この映画自体についても理由や正解を求めるべきではないのかもしれない。
ただ、ここで敢えて持論を述べさせて頂くならば、今作は偶然性を人為的に創作しようとしたホン・サンスの意欲作であると定義したい。
ホン・サンス作品の特徴の一つに偶然性がある。世界観のリアリティ(実在性)を追究する映画にとって、偶然の要素はその世界観に近づける必要なショットでもある。ホン・サンス作品では、主に犬や猫、小鳥といった動物のショットでそれを表現している。動物は演技ができず、偶然に頼らざるを得ないからだ。
しかし、今作はホン・サンス自身の手で(脚本で)偶然を生み出そうとしてる。だからあの様な、一見すると必然的で不可解な構成の物語になっているのではないか。
では、果たして成功しているのか?については今一度鑑賞して頂くのが一番宜しいかと存じますが、それ以降の作品を鑑賞しましたら、動物や自然を多用されておられることから鑑みますと、上手くいかなかったように思う。
ちなみに、ホン・サンス作品の特徴のもう一つに、艶っぽい女優の起用がある。今作の女優は、艶っぽくないか、あるいは出番が少ないため、画面の興味が持続せず、つまらないと感じることが多かった。(男性諸君同士よ!立ち上がれ!!
ちなみにちなみに、映画監督である主人公と飲んでた映画の学生が一緒にタバコを吸おうとしたら、主人公が突然「おれの真似をするな!」と怒鳴り散らしたのは、ホン・サンスのパクリはするなと、後進の映画監督にマジギレしてるのか、または忠告ないし叱咤激励をしているのかもしれない。