まや

ドコニモイケナイのまやのレビュー・感想・評価

ドコニモイケナイ(2011年製作の映画)
4.0
ただずっと不安で苦しかった。夢を追いかけて渋谷に上京して来た19歳の少女に密着したドキュメンタリー。

ドキュメンタリーと忘れるくらい映画的要素が強くてこれが実際にあったことと捉えるにはとても苦しかった。

出会いの渋谷編とその9年後の佐賀編での撮り方に違いがあったのがとても面白かった。渋谷編はカメラが不躾にひたすら密着しインタビューしていくのに対して(加えて当時の渋谷のリアルな空気感が伝わって来て、今とはまたちがう雰囲気を感じられた)佐賀編は言葉を挟むことがほぼなく、寄り添うようなカメラで優しさを感じた。

今の場所が本当に私のいる場所なの本当はもっと違う何者かになれるのではないのか、そんなふうに思っても現実はどうしようもなくただ生活が続いていく、そんな行き場のない感情は痛いほど伝わって来た。そこに希望や明るさを私はまだ見出せることはできない。年齢を重ねる度に感じ方が異なる映画だと思う。
まや

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