JIZE

ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館のJIZEのレビュー・感想・評価

2.7
魔法学校ホグワーツ卒業後に19世紀末ロンドンで再び遺産整理を巡る古典ゴシック恐怖映画!!静寂な汽車ホームで1人佇む名作オマージュは粋!!ハリー感は亡霊に奪われ抑制!!最後の禁断顛末は総括不能で製作側が逃亡!!本作は2012年公開時も劇場で丁度クリスマス時期に1度監視しそれ以来2度目の監視。また本作は主演ダニエルラドクリフがハリポタ全8作を完結後に役柄の払拭を狙い製作され第1回主演作と釘打たれたのが記憶に残る。また『ハリーポッター(2001年~2011年)』シリーズと出来映えを比較され日の目を浴びない落差はハードル的にどうしようもない事でまぁイメージ払拭な観点で十分頑張った方だと私は思います。で,内容ですが今回亡霊側にはほぼ触れず構成や演出で特質点を取り上げたいと思う。理由は単純に悪霊マニアでなく幽霊や超常現象を全く信じない派だから。では,本作ラドクリフ演じる彼の役柄は妻を亡くした子持ちの若き弁護士。で彼の性分は穏やかで寡黙,どこか不穏な神経症を患う面影で落ち着きのなさも時折心に響いた。舞台配置も19世紀末のロンドンと田舎町の退廃した集落。この時点でラドクリフ主演で善良学園物の"あの映画"を連想する製作側の皮肉演出は拭い切れない訳ですがまぁロンドンと一言で言っても沼地地帯に寒村,無人の邸宅など物騒で不気味,人気なきゴシック調の不穏さ漂う田舎町で舞台配置の一風変わった雰囲気や亡霊の都市伝説的な噂が広まりそこの居住者たちが恐怖に苛まれ既に事態が深刻的で彼等の人格が加速度的に変貌し衰退した風貌は唖然と無機質な禍々しさを抱き事態の荒れ果てた異常さに序盤から苛まれディストピアな世界に圧倒され導かれる。亡霊側の主人公に憑き纏う地獄巡りな構図よりゴシック調な格式張る英国映画的でもあり堅物な面影は美術や演出,音楽を担当した製作側の勝因にも思えた。要は亡霊側より美術的な観点で世界観に惹かれ古風でクラシカルなモノクロ感に興味の集約性が私自身は持てた。だから亡霊側の視点は正直言えば開幕から8,9割どうでもよく美術面に興味を注いでいた節はある。

概要。英国の名作ホラー小説「黒衣の女 ある亡霊の物語」を映画化。監督はジェームズ・ワトキンスで主演には『ハリーポッター』シリーズのダニエル・ラドクリフが大役を果たした。

シナリオもドラボロウ夫人が所有していたイールマーシュという館で主役が遺産整理を上司から雇用価値の証明と強引な交換条件で業務を任され古ぼけた田舎町に主役が飛ばされる,要は地獄巡りな運命をキップスが館の歴史を通じ順に辿り救済余地なき題材なんですよ。この話は。だから余計にキップスの過去仕事を通じた背景やワンクッション演出を走馬灯的にでも1,2個挟ませればキップスという誠実な男の起伏に感情移入しやすかった節はある。そういう観点では館に住み付く亡霊ばかりが構成的に悪目立ちし演出面でVS構図を狙うならドラボロウ夫人の執念や欺瞞の描き方も何かパッとせず理屈上で腑に落ちない訳ではないが映画的に地味で結果どうしようもない。亡霊の棺桶を車体のロープを用い沼地地帯から掘り起こし作業にかかる場面辺りから興味が途切れたかな。極悪非道で邪悪な悪霊って事を館に眠る膨大な資料を通じキップスは少なくとも把握してた筈でしょう..アノ選択肢を選び結果クライマックスでああなる場面を踏まえればじゃあ今迄観てきた行動や観念的な成仏に運ぶ手段の数々は利があったのか..業務上の境界線をキップスが越え個人的な感情で呪いの謎を紐解きにかかる構成は必要以上な行動に出た結果,ああなってる訳だから救い価値無き物語を魅せられた観客はこの想いや感情を一体何処にもっていけばいいの⁉︎....ただ最後に1つ言える事は亡霊の顔面が終盤で1度ドアップ演出で画面全土に神々しく姿形が披露され悪霊が本性を現すんですが,その瞬間の顔面白塗りや高飛車で憎々しい表情が『ハリーポッター』の"例のあの人"曰くボルデモートそっくりなんですよ,だからラドクリフがホグワーツ卒業後にボルデモートと世界を二分した壮絶な闘いに呪いの館で再度勝負を挑む運命的な作品の続編的な位置付けではメタな何重にも及ぶ多層構造も併せ持ち異常に激アツで溺愛的なハリポタファンに企画外の続編を,お勧めです。
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