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ルビー・スパークスのodyssのレビュー・感想・評価

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)
2.5
【ヒロインの設定に問題あり】

夢に見た女の子が現実に現れたら・・・・という筋書き自体はさほど目新しくないと思います。だからそれをどう料理するかがこの映画の最大の眼目になるはず。

そういう見地からすると、イマイチ筋書きが練れていないのかな、という気がしました。

ひとつには、本来夢の中から生まれてきた、つまり主人公=若い作家の理想である女の子が、なぜ途中から彼の意に添わぬ行動をとるのか、というところです。本来であれば、理想的な恋人なのだから彼の気に入らないような性格ではないはずなんですよね。

むろん、そこには男が女に対して持つ意識の矛盾が表現されているのかも知れません。男は一方で従順な女を求めますが、他方で従順なだけの女では面白くないという気持ちもある。男を翻弄するような女に憧れることもある。そして一人の女にその両方を求めたりする。身勝手と言えば身勝手なんですが、まあ、それだけ男の欲望は深いということでしょう。

ただこの場合、ルビーの行動は日本人の私から見て、いかにもアメリカ映画に出てきそうなふつうの女の子なんですよ。ふつうの女の子で何が悪いという異議も出そうですが、夢の中から生まれた女の子である以上、ふつうじゃいけないと思うな。

だから、脚本の順序として逆にすべきだと私は考えます。あまりに理想的な女の子なので、それに飽きるか困るかして、その結果書き換えによりふつうの女の子になっていく、という具合いに。

それから、好みの問題ですけどヒロインを演じるゾーイ・カザンが私の目にはイマイチ可愛く見えません。むしろ主人公の母親で出てくるアネッテ・ベニングのほうが魅力的に見えました。

ちなみに、アネッテ・ベニングとその連れが住んでいる家を見て、これがどの程度現実のアメリカ人を反映しているか知りませんけど、孫もいる年齢になって自然志向に血道を上げているアメリカ人って疲れる奴らだな、と思いましたね。
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