バナバナ

伴奏者のバナバナのレビュー・感想・評価

伴奏者(1992年製作の映画)
4.3
主人公ソフィーは貧乏な家の子かと思ったら、実家のアパートや着ている物も小奇麗だし、貧乏とまでは言えない感じ。
ただ、第二次世界大戦中が舞台で、しかもドイツに占領されているパリなので、
冒頭でも「食糧難で飢え死にする人が60%も増えた」と、わざわざテロップで入れている。

そんな時代に、ソフィーは既にヨーロッパで認められているソプラノプリマ歌手・イレーヌの伴奏者になる事ができた。
イレーヌの楽屋や家には、この御時世にマカロンが山の様にある。
夫が対独協力者の商人なので、裕福な家庭だったのだ。

最初は母子家庭でギリギリの生活をしている母と、美しくて優しいイレーヌを比べていたソフィーだったが、初めてイレーヌのコンサートで伴奏してみると、観客はイレーヌしか見ていない事に気付いてしまう。
また、夫が居ながらイケメンの浮気相手がいる事も知ってしまい、ソフィーはイレーヌを尊敬しながらも、心の中では激しい嫉妬が湧き上がってくるのだった…。

という事で、私は伴奏者自身の内面を追った話かと思っていたのですが、最後まで観ると、結局『家政婦は見た』みたいな話でした(汗)。
イレーヌ、ソフィーには船で「経済力は大事よ」とアドバイスしようとしてたけど、結局自分は…。
私だったら、経済力関係なしに、この愛情深い旦那さんの方が好きだけどね。

イレーヌの夫役がリシャール・ボーランジェで、ソフィー役ロマーヌ・ボーランジェの実父なんですね。
お父さんは強面なので、全然親子で似てないのね。
でも、娘のデビュー作に良い作品を用意したわね。
作中の妻への愛以上に、娘への愛を感じたわw。

演出も、旦那の目線だけで、既に妻の浮気に気付いている事が観客にも分かったり、妻側の揺れる心など、無駄な説明がなく、流れる様に進んでいくので上手かったです。
バナバナ

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