odyss

伴奏者のodyssのレビュー・感想・評価

伴奏者(1992年製作の映画)
3.0
【表層をたどる映画】

DVDにて。

第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されたパリ。
そこで華やかに活動している美貌のソプラノ歌手。
こうした状況下で彼女が活動を続けられるのは、実業家である夫がドイツ軍とのパイプを持っているからだった。
この歌手に、ピアノ伴奏者として雇われた少女。
母と二人きりの貧しい生活から、陽の当たる場所で優雅に暮らすソプラノ歌手と一緒に仕事をする毎日へ。

この映画、面白くなくはないんだけど、作品のどこに重点をおいて作られているのか、ちょっと中途半端で、そのため作品自体の印象も弱くなっている。

華やかなソプラノ歌手と貧しいピアノ伴奏者の対比なのか。
ドイツ軍占領下で音楽活動を続けていく上での苦労(彼女自身より夫の苦労かな)なのか。
夫がコラボ、つまりドイツ軍協力という危ない橋を渡っている裏の面なのか。
或いは、ソプラノ歌手には若い愛人もいるのだが、そういう彼女のプライヴェートなのか。

各面がどれも少しずつ出てきて、しかし掘り下げられるわけでもなく、映画は表層をただただ進行している。
表層とのたわむれ、なんて表現は二昔前にポストモダンが流行していた時分に使われたけど、この映画もそんな感じかなあ。
odyss

odyss