ミュージカル映画の真髄ともいうべき作品。登場人物は最初から最後まで歌っている。これが2時間半続くので集中力が必要だがどこを切り取っても名場面なのがすごい。
理不尽で不条理な仕打ちを受けたジャンが、神父の慈悲を受けて改心し、他人への献身を生涯貫き通す姿がかっこいい。
また警察官ジャベールも、神に身を捧げて正義を執行していくが、最後にジャンの生き様を見て正義の本質を垣間見る。この場面も印象的。
登場人物全員が、愛や信仰、正義、自由といったテーマを携えながらドラマティックに生きており、私たちの心に訴えかけてくる。これは脚本、構成、俳優、音楽が非常に洗練されているからだと感じた。
この映画を見るにあたって注意点がいくつかある。
この映画を見る際は原作のあらすじを予習しておいた方がいい。そこまで複雑な人間関係やストーリー展開はないのだが、長尺の割にテンポ良く話が進み、少し目を離すと置いていかれる可能性がある。また時間軸が何度か飛ぶので、身構えていないとついていけなくなる可能性がある。
さらに可能なら時代背景の予習もすると良い。ナポレオン時代が終わり、再度訪れた王政に苦しむ人々が、新たな自由の時代を求めて戦う姿が描かれる。戦争や悪政、流行病で貧しい生活を強いられた民衆の思いにより寄り添うことができるだろう。
