ちろる

もうひとりのシェイクスピアのちろるのレビュー・感想・評価

3.8
今も世界中で愛されるシェイクスピア文学は、実はシェイクスピアのものではなかった!
「もうひとりのシェイクスピア」という邦題でありますがこの物語においてはシェイクスピア自身は単なる脇役であり、というかとんでもないやな奴!
大学時代、シェイクスピア文学を専攻してたので、なんとも心がざわつくような内容ですがフィクションとして、実は結構楽しませてもらった。
エリザベス一世がアイルランドとイングランドを統治する時代。
イギリスの歴史に詳しい方であればあるほどこの大胆すぎる脚色は混乱するだろうし、逆に全く詳しくない人が観たら、え?エリザベス一世そうなの?とかなって勘違いしてしまうかもしれない非常に危険な橋を渡っている作品だと思う。
でも、実はこのややこしさの中に遊びがいくつかあり、実際のシェイクスピアが描いた悲劇をうまく絡ませていたりするので、適度にシェイクスピア読んでる人にはおすすめ。

こちらの作品について少し言及すると、登場人物も多く、過去と現在を突然行ったり来たりする上に、その過去と現在で同一人物を別の役者が演じているのですが、描きたいことを一気に詰め込みすぎてるせいで集中していないと混乱しがち。

せっかく脚本時代に沢山の遊びがあるのだから、ここまで堅苦しい感じの雰囲気にせず、もっとポップに作ってくれればより良かったかなーというのが個人的な意見です。
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