すきま

100万回生きたねこのすきまのレビュー・感想・評価

100万回生きたねこ(2012年製作の映画)
-
子どもの頃、家に『おじさんのかさ』はあった。
図書館で借りて佐野洋子のエッセイも読んだのに(どれも読みたくなるようなタイトル)、この絵本だけなぜかもう読んだ気がして、ちゃんと全部読んではいなかった。
動物と子どもは孤独だから目が綺麗、大人にはできない目、というような言葉が出て来た。わたしは雑誌写真で見かけるチバユウスケ氏の真空のような目に、たぶんそれと同じことを感じていた。
女性の語りを聴く映画になっているけれど、女性にこだわった理由が開示されていない。インタビューの対象が、ほぼ子を産んだ女性とその子どもで占められていたので、独り身としては遠くに感じた。
監督は、絵本の物語を真に理解できるのは、子を産んで育てた女性だと頭のどこかで考えているのかもしれない。もしそうなら淋しい。
全体に映画としては気に入った。
佐野さんの語りや渡辺真起子さんの表情の切り取り、軽井沢の雪や北京などの風景、大縄跳びの場面が美しく、音楽の使い方も良かった。
子どもから言葉を無理に引き出していないのもいい。

わたしは死ぬまでに時間を生きられるようになるだろうか。
すきま

すきま