このレビューはネタバレを含みます
「艶が関係した男達」
①12才の艶を犯した男←従兄で小説家
②艶の元夫←アパートの大家
③自殺した男←艶のメル友
④艶がストーカーしていた男←イケメンチャラ男
⑤艶のせいで妻と娘を捨てた男←松生
⑥艶を憎みながらも愛し続けた男←松生
以上、艶が出会った5人6件の男達。
しかし物語はこの5人の男達ではなく、男達とそれぞれに関わった、それぞれの女達を追いかける。
艶と関わった男の女達は夢想する。自分の夫、父親、男に彫り込まれた艶の刻印を。まるで白紙を炙って浮き出る文字を見るように。
6件目の男、松生は5人の男達を「つやのよる」へと呼び寄せる。それは艶への復讐であり男達への勝利の雄叫び。
今も松生は自転車のペダルを漕ぎ続けている。ひたすら愛と憎しみの坂道を往復しながら。
以下メモ
冒頭の松生がナイフを振り上げるシーン。愛憎の表現としては少々薄いんではないだろうか?と感じる。どれほど憎んでも逃れられない愛はある。私ならば苦しみの元を断つより諦めて受け入れる方を選ぶ。