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つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語のodyssのレビュー・感想・評価

1.5
【失敗した群像劇】

女たちの群像劇であると同時に、「空虚な中心」、つまり画面には臥せった瀕死の重病人としてしか登場しない「つや」という女性を、他の女性たちの姿によって影絵のように浮き上がらせようとした映画、なんでしょうね。タイトルの「つやのよる」は、ヒロインの名「つや」であると同時に「通夜の夜」でもある。

でも、その試みはうまくいっているとは思えない。ひとつひとつのエピソードが短いし、群像として各女性の持っているトラウマだとか、逆に別れた夫へのこだわりのなさだとかが、心底納得できるように描かれているようでもない。

何人も登場する女優の特性が掘り下げられているわけでもない。勿体ないなと思う。

群像劇だから悪い、というのではないだろう。市川崑監督の『黒い十人の女』という映画があるけれど、群像劇として成功していた。やり方次第なのである。行定監督には残念な結果となった。

唯一の見どころは、野波麻帆の見事な裸体だけかな。
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