蟹鹿サラダ

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日の蟹鹿サラダのレビュー・感想・評価

3.8
ストーリーの進み方がすごく好き。
パイという男が虎と漂流した夢のような日々を回顧する。夢といっても心地よい夢ではない。
心を通わせることは到底できない野獣との船旅である。
父の営む動物園が経営破綻した家族は、動物たちを引き取ってくれるという伝を頼りに貨物船に乗り込むが嵐によって漂流。
主人公パイは傷ついた動物たちと一頭の虎と共に救命ボートにのり命を救われる。
家族を亡くした悲しみに浸る間もなく、弱った動物たちは飢えた虎の餌食になり、ついには虎と2人きり命がけの船旅が始まる。
食料も水もわずか、朦朧とした意識の中で様々な不思議な体験をし、野獣との奇妙な連帯感が生まれ始める。

素晴らしい映像美と共に語られるストーリー。
果たして彼が乗ったボートにいたのは本当に動物たちだったのか。
ストーリーを理解するというよりは、心で感じる映画だと思う。
極限状態で人は何を頼りに、なんのために生きるのか。
人は1人では生きられない。