AKIRA

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のAKIRAのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

「海で起こった2つの物語を話した。船の沈没の原因は不明。どっちの話が真実か証明できない。いずれの話も船が沈み家族を亡くして悲しんだ。どっちがいい?」
自分の中のみでなら、辛い過去を自分の生きやすいように解釈/改変したって、自分の人生=物語なのだからいいのかもしれないとフッと背中を押されたような。
トラとの漂流話はパイの改変物語だろう。食肉島に至っては寝そべったヒト型みたいであったし、海で浮かないバナナ(日本人保険調査員によれば作中では浮かない設定)でオラウータンが浮いてボートまでやってきたり、こちらのひとつめの話は「神の話でもある」みたいなセリフもあった気がするので、神の話=信じたい虚構の話とも捉えられるだろう。そもそも、子供時代の教会に入った場面に神父に呼びかけられたのは「喉が渇いたかい?」(捕獲されたトラの初めての名はサースティ=thirsty)であるし、
「お前はトラの目に映る自分の心を見ただけだ」っていう父のセリフまである。これを伏線だと捉えると、
総合するとやはり作り話(トラもパイ本人)なのだろう。

それにしても映像美がすごい。心に残るカットが多い。
不思議に惹きつけられる作品だ。
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