雨のなかの男

ムーンライズ・キングダムの雨のなかの男のネタバレレビュー・内容・結末

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

U-NEXTで鑑賞。今まで見てきたウェス・アンダーソン作品の中で一番好きだな。監督ならではの横移動の演出がしっくりくる。左から右へとゆっくりと絵本を読み進めていくような感覚や、そのカメラの平面な移動による奥行を感じさせない演出がかえって現前する小さな世界に没頭させてくれる。まるで『MOTHER2』のようなささやかでブラックユーモアに溢れた世界というか。エドワード・ノートンやブルース・ウィリス、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スウィントン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド…脇を固める濃ゆい名俳優たちによる「どこがとぼけた大人たち」も愛おしい。そんな大人たちがいる世界で誰にも理解されない孤独を共有する2人の逃避行はまさに『俺たちに明日はない』のボニーとクライドのようでどことなくふんわりした世界観に真実味を持たせてくれる。家族を捨てて包丁を突きつける少女の強い眼差しと、迫り来る追手から彼女を守り新たな家庭を得んとする少年の強い意志がこの映画の全てだと思う。
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