アキラナウェイ

王になった男のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

王になった男(2012年製作の映画)
4.3
洋の東西を問わず、王には影武者。
プーチンには何人の影武者がいるんだろう?

「仮面の男」でレオナルド・ディカプリオが一人二役をこなしたように。イ・ビョンホンが一人二役の本作。

1616年、朝鮮王朝15代王・光海(イ・ビョンホン)は、常に暗殺の恐怖にさらされ、次第に精神を病み暴君と化していく。一方、王と瓜二つの顔立ちをした道化のハソンは突如宮廷に連れ去られ、王の影武者となることを命じられる—— 。

え!?王様って家臣達皆んなが見ている前で"大"の"便"をしないといけないの!?
何たる恥辱!!!!

ある日突然王になれと言われても…。

本物の王様が毒を盛られて、危篤状態になってしまったから、いきなり影武者としての王様デビュー。

ハソンは下品だし、おならプーだし、王の側近ホ・ギュンも呆れ顔。そんな彼を演じるは「エクストリーム・ジョブ」のリュ・スンリョン。

2人だけなら、ホ・ギュンがハソンに対して偉そうに抗弁を垂れているが、誰かが部屋に入ってこようものなら、あたふたして2人の立場が逆転するのが面白い。

当初は戸惑うばかりのハソンだけど、光海の統制する国の在り方に疑問を抱き始め、民にとって真の王になりたいと願い始める。そんなハソンの姿は周囲の者を魅了していき…。

事実を知らない、王の護衛であるト武将のエピソードが好きだ。一度はハソンを偽物と見破り、彼の首に刃を突き立てるも、その場はハソンの正体はバレずに済んで。その後、自らが真の王と認める者には、命を賭して仕える忠義に涙。

流石に王妃と床を共にすれば正体がバレてしまうと、ハソンは彼女を避け続けるが、次第に男女として惹かれ合うラブロマンスも。王の給仕役、サウォル(シム・ウンギョン)のエピソードも。

違和感なく一人二役を演じ分けたイ・ビョンホンだけではない。王を取り巻くキャラクターが皆魅力的で、いくらでも目移りしてしまう。

王ならば
民が父と仰ぐ王ならば
たとえ奪って盗み物乞いをしても
民を助けるべきだ。
そなたたちに大事な事大の礼より
余にとっては、この国と民が何百倍も大事である。

うーむ。
我が国の為政者に是非聞かせたい。

岸田さん、聞こえていますか?