(「ピクセル」を観たので再視聴)ゲーム版「トイ・ストーリー」。アーケード・ゲーム世界のキャラクターたちはプレイヤーが見ていないところで勝手気ままにゲームの内外狭しと駆けめぐる！
とあるゲームの悪役で、物を壊すことしかできない嫌われ者のラルフが、自分の役割に嫌気がさし、(ゲームクリアの証の)メダルを求めて他所のゲームへ出奔。悪役のいないゲームは処分される運命にあり、それを阻止するために善玉(プレイヤブルキャラ)フィリックスも彼を追って外へ出て行く。
3DCGで表される劇中ゲームの世界観は不思議な魅力に満ち溢れ、とりわけ主な舞台となる『シュガー・ラッシュ』内のスイーツをモチーフにしたキャラクターたちはとっても個性的！オレオ兵やエクレア犬、サワーキャンディの侍従等の非人間キャラクターのガジェット性も高い。
逸れ者のヒロイン、ヴェネロペはラルフを翻弄するほどのお転婆だが魅力的。特にゲーム世界の住人らしく“バグ”や“処理落ち”等の現象を逆手にとって活躍するシーンは頼もしくさえ感じてくる。
強い意志を持つ少女との交流の中で悪役ラルフの意識が変わり、善玉フィリックスとの間に芽生える友情や相互の立場の理解という成長物語。加えて、他のFPSゲームからやってきた女軍曹とのちょっとしたラブコメ。各所に張られた伏線を綺麗に畳む急転直下のクライマックス。シナリオ運びは文句の付け所なし。アクションは、監督が「マリオカートを映画にしたい」と言ったらしいが、確かにゲーム感覚たっぷりで愉快痛快。本当に素晴らしい。「アーケードゲームネタ」という一点が人を選ぶが、ディズニーアニメの傑作中の傑作だと思う。
ところで色んなゲームの悪役が互いを慰撫しあうサークル活動みたいなのをしているのは、何だか心の疲れた大人のリハビリめいた哀愁漂う雰囲気があって良いよね…これが人生、これが仕事。
