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ザ・マスターのyksijokiのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.5
●3行サマリ
新興宗教的なオカルト教にハマりかけるPTSDのホアキンフェニックスがすごい飛ぶ酒を自ら醸造したり過去のトラウマ的初恋みたいなものと向き合ったり新興宗教的なものの長であるおじさんとえも言えぬ関係性になるお話

●感想
ホアキンフェニックスの役に入り込む素晴らしさというか怪演ぶりがすばらしくてPTSDに加えて依存症になっているフレディという人間がそこにいるという感覚があってとてもよかったのと映像の美しさが際立っていてさすがポールトーマスアンダーソンという丁寧で美しい画作りだなという感じが絵画のようだった。砂漠というか山道をバイクでチキンレースするシーンが特に印象的だった。

登場人物たちの関係性をベースにしながらフレディの感情や心境がどう変化していくかがメインストーリーというか本テーマなのだと思うけれどもそこのストーリー展開はちょっと起伏が小さいというかそもそもその本ストーリーにあんまそそられないという感じが個人的にはしてしまってそこは少し残念だった。

逆に新興宗教やカルト教にハマる人たちのハマり方とその取り巻き達の様子というかある種洗脳的なカルト教の存在やそこに至るストーリーみたいなものはおもしろかった。プロセシングという過去への旅とかいう胡散臭い洗脳についても結局やっていることは過去の自身のトラウマに対して自身で向き合わせてそこでの選択を変えさせるとかそんなようなことで一種のロジックはありつつという所で納得感というか共感も覚えたし、そのプロセシングの描写がかなり面白かったのはあった。

自分の人生において「マスター」と呼ぶ存在は果たして必要なのか。これをホアキンも最後まで考えつづけているし、依存する人、依存される人との依存関係を考えるような作品でした。

キャスト ★★★★ 3.9/5.0
ストーリー ★★★ 3.3/5.0
演出 ★★★★ 3.7/5.0
音楽 ★★★★ 3.7/5.0
映像 ★★★★ 4.0/5.0
プロット ★★★ 3.3/5.0
バイブス ★★★ 3.0/5.0
全体 ★★★★ 3.5/5.0
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