新興宗教をテーマに、1人の孤独な男が魂の拠り所を求める様子を描いたPTA監督作品。
1950年代、アメリカ海軍兵だったフレディ・クエル(ホアキン・フェニックス)と、偶然出会ったザ・コーズという新興宗教の教祖(フィリップ・シーモア・ホフマン)との交流を描く。
↓以下、ネタバレ含む勝手な解釈です
フレディの父はすでに死に、母は精神病院に入院している。戦争のPTSDもあるが、どちらかというと孤独な環境が彼を狂暴にさせているのだと思えました。
フレディを受け入れてくれた唯一の人間が教祖で、フレディは教祖に「父」のような確かな関係性を求めていたのだと思う。
フレディはふと洗脳されていない自分に気づき、同時に教祖との関係が本物の繋がりではなかったことに気づき、愕然としたんではないかな。2人は宗教がなければ繋がらなかったし、宗教があったらからこそ別れたともいえる。
砂で作った女体は母への憧憬のようで、生身の女性もフレディにとっては砂の女体と同じく空っぽで虚しいものなのだと思う。彼はこの先、誰とも繋がれず、孤独な魂だけが彷徨うのだろう。そして誰かと繋がる手段として宗教を利用するのかなぁと思えた切ないラストだった。
ホアキンの演技はほぼ即興だったということで、相変わらず何をしでかすかわからない怪演ぶりがお見事。フィリップ・シーモア・ホフマンとの競演は見応えがありました。