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ラストスタンドのEikeのレビュー・感想・評価

ラストスタンド(2013年製作の映画)
3.3
2013年公開の本作製作の時点で還暦をお迎えになっていたシュワルツネッガー氏。
カリフォルニア州知事の職を経て銀幕への復帰第一作はやはり鉄板のアクション映画でした。
国境にほど近い小さな町でメキシコへの逃走を図る若き麻薬王を迎え撃つ警察署長役。

この粗筋からシュワちゃん(ハリウッドの大スターに「ちゃん」付けして違和感がないのもこの方だけじゃないでしょうか?)のイメージに沿った内容の作品でしたのでサラッと見てしまいましたがマーケティング面からみると中々興味深い作品であります。
警察官役と言う点では彼の従来のイメージと齟齬は有りませんが所長役となると話は別。
もともとそのガタイの良さもあって”規格外”のキャラとして珍重されてきた彼ですから、これまでも刑事や諜報員と言った役柄を演じてはいても管理職とは一番無縁のポジションばかりだった気がします。
ところが、本作ではど田舎の町のお話とは言えども署長役であり、部下の若造たちの面倒も見なきゃならない立場である。
その点もあって、これまでになく彼の人間性が強調されていて新鮮である反面、違和感を覚えたのも事実。

何より、台詞の量が多い。
ターミネーターの第一作と比較すれば100倍位喋ってるよーな気がする(笑)。
そこで改めて痛感するのは彼がアメリカ出身ではない事(実際には1983年に米国市民権も得ておられます)。
その強烈なオーストリア訛りはもはやトレードマークですけどね。
対する若き麻薬王ガブリエル・コルテスを演じるエドワルド・ノリエガ氏との対決はアメリカの大地におけるで異邦人同士の衝突と言えます。
監督がこれもまたアメリカ人でなく韓国人のキム・ジェウンであることで、より一層このテーマが際立っている気がします。
お話そのものは西部劇な訳ですが、意外とステレオタイプめいた印象がないのはこうした人材を揃えたのが一因でしょうか。

B級アクション映画であっても印象が軽すぎるモノにはなっていないのはうれしいところ。
夜明け前に来る筈の牛乳配達が来ないといって食堂のウェイトレスが署長宅に電話を掛けて寄越すような古き良きコミュニティの雰囲気がきちんと描かれているからですね。
アクションシーンを含めて意外性はありませんが娯楽映画としてきっちりと主人公を立てた演出も用意されていて楽しめるモノになっていると思います。

ただし、この点が「今風」なんでしょうか、CGを使った暴力描写が妙に血なまぐさいモノになっていて、その点は本作のイメージと合わない気がして少し残念でした。
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