ルサチマ

5windowsのルサチマのレビュー・感想・評価

5windows(2011年製作の映画)
4.2
夏服のレトロなワンピースを纏う中村ゆりかと白いワイシャツとスカートの夏の制服にカメラをぶら下げる長尾寧音がここしかないというような振舞いで、まるでカメラを前に恋に落ちたと錯覚させる表情で立ってみせる。いつも通る(のだろうと思われる)道を自転車で移動する染谷と橋の前のアパートの屋上に居座る斉藤陽一郎、たまたま予定と違った駅から歩く長尾寧音の3人が橋を前に時間など意識するはずもなく、繰り返される14時50分という時間の警告と3人の間でなされる行為の連鎖(空を見る、水を落とす、水が落ちて空を見るetc)は常に時間の警告があった後にしか有り得ない。時間の警告によりリアルタイム性を高め、彼らが時間の流れに常に間に合わないことが示された後に、同じ14時50分を「15時、10分前」と未来から語り始めた瞬間、これらの行為が単なる反復などではなく、フィクションとして間に合わないことが生み出す連鎖の実験であることを確信する。時間も空間もめちゃくちゃに音の連なりの中で平気でクロスカッティングを炸裂させるのが凄い。
ルサチマ

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