イペー

レッド・ステイトのイペーのレビュー・感想・評価

レッド・ステイト(2011年製作の映画)
3.6
神と出会い系サイトを信じなさーい!

保守的なアメリカの田舎町で、カルト教団の起こした事件とその顛末を描くスリラー。

クーパーは親類だけで周りを固め、閉鎖された教会内で私刑を行なう狂信者。
聖書の一節を引用しつつ、独自すぎる解釈で夜な夜なゲイの方を処刑しています。
信者たちはクーパーを父と慕い盲信。誰も咎めることはありません。どころか彼の弁舌にウットリ。

クーパー教団の仕掛けた罠は出会い系サイト。フガフガと鼻息の荒いアホ高校生トリオが、すぐヤらせてくれるとの情報をエサに、まんまと宗教残酷ショーの犠牲者に。
果たしてチェリーボーイズの運命は…。

…と、ここまでは良くある田舎スリラー。
自分も予備知識なしで鑑賞してまして、油断しきってました。ここからの展開は完全に予想外。以下ネタバレあるので注意!

保安官の要請を受けたATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)の特殊部隊が登場し、武装したクーパー教団とまさかの銃撃戦が始まります。

ドンパチに迫力は無いものの、主要な登場人物がアッサリ死ぬせいで、先が読めません。クーパー、信者、ATF。各々が良心や信仰に従って行動する。そして頭の上では銃弾が飛び交っている。

生死の狭間にある極限状態で明るみに出るのは、正義も悪も無い、右往左往する人間の姿です。良心や信仰の土台はグラグラと揺らぎ、ついでに映画の足場も揺らいで、観てるこちらまで居心地が悪い。

やがて黙示録のラッパが鳴り響き、審判が下されます。
神の怒りを買ったのは誰なのか?

オチは言わないでおきましょう。賛否がハッキリ分かれるのは間違いないです。
ちょっと露悪的でイヤらしいな、とは思いましたが、アメリカ国民なら違う感想なのかも。

…結局、この映画から得られる教訓は"出会い系には気を付けろ"って事かな。
イペー

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