ねこ無双

蜜の味のねこ無双のレビュー・感想・評価

蜜の味(1961年製作の映画)
3.8
トニー・リチャードソン監督作品。
ジャケ写は主人公の女の子ジョー(男性だと思ってたので…)
イングランド北西部の町が舞台。
高校卒業を控えたジョーは母親と二人暮らし。家賃を払えないと夜逃げする生活を続けている。
母親の再婚を契機に、高校卒業したジョーは働きながら一人暮らしを始めるが、もうそばにはいない黒人の恋人の子供を妊娠していることを知る。

意思の強さが伝わる少女の目が印象的。
嫌いな奴には攻撃的になるけど、ちょっと風変わりで明るく気のいい少女。
母親とは顔を合わせれば喧嘩ばかりだが、母からの愛情に飢えている。

主人公と共に同居する友人ジェフとの会話が胸を打つ。
ーちょっと落ち込んでるだけさ。そのうち普通の君に戻るさ。
ー普通の私って?普通の私は普通じゃないの。忘れないでジェフ。私は非凡な人間よ。私もあなたも特別。
ー個性的。
ー若い。
ー最強。僕らは超一流だ。

主人公の不安や苛立ち、未来への希望が生き生きと描かれていて、とりわけ同居人ジェフとのやり取りに心を動かされた。
道端に落ちていた一羽の鳥の死骸を見て表情が曇る主人公も忘れられない。

その当時のイギリスの風俗がわかるのもおもしろくて、
下町の町並み、パレード、遊園地、商店、車に群がる子供たち。運河で遊ぶ子供たちなど描かれている。

この原作は18歳の少女が書いた舞台戯曲を映画化した労働者階級の少女の物語。
カンヌ映画祭では、主人公ジョーを演ずるリタが主演女優賞、友人役ジェフを演ずるマーレイが主演男優賞と、ともに受賞した。

🐾JAIHO体験記⑨これにてとりあえず終わり☆