ひでぞう

蜜の味のひでぞうのレビュー・感想・評価

蜜の味(1961年製作の映画)
4.6
シングル・マザーのもとに、鬱屈した日々と過ごす女子高生ジョー。なぜ、うまくいかないのか、これからどうなるのか、母親の自堕落な生活、その男の傲慢さ、そうした鬱屈する要因が丁寧に描かれていく。しかし、それに拘束されながらも、それを跳ね返すような、瑞々しい演技と表情には惹きつけられる。ひとときの初恋とその結果としての「うとましさ」。このあたりは、一見、ありふれた物語にみえる。しかし、そこに登場するのが、ゲイの青年、ジョフリー。ゲイであるがゆえに、ジョーのかかえた、女性としての窮地を自分のことのようにうけとめて、前向きに準備していく。ラストでの、ジョフリーの哀しさ。それを見事に描いているところに、トニー・リチャードソン監督の傑出した才能がある。
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