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カリフォルニア・ドールズのhasseのレビュー・感想・評価

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)
4.9
これぞ最高のエンタメ作品!
説教臭さ一切なしの笑って泣ける王道のサクセスストーリー!
余計なお涙頂戴シーンはなし。クライマックスの映像だけで観る者に感動を与える素晴らしさ!
キャラ設定も最小限に済ませ、過去はほぼ語らない。未来に向かって有名になり金持ちになることをひたすら目指す二人。それがいい!

冴えない2人の女子プロレスラーとマネージャーのチームが、泥臭く成り上がっていく物語。『あしたのジョー』好きの自分にはぶっ刺さりまくりの映画だった。

トレドタイガースとのタイトルマッチで、マネージャーのハリーがあの手この手でカリフォルニア・ドールズ応援ムードの仕込みをしていくシーンが面白い。ポスターを張り替え、人気レスラーのグッズを撤去し、子供らに金をばらまいて合唱団を組織し、ピアニストを雇う。入場の演出も派手な衣装といつの間にか雇ったマッチョ軍団で盛り上げる。やってることはただただセコく見えるのだが、劣勢ムードをいかに優勢にひっくり返すかという勝負事において重要な要素を学べるシーンでもある。

そして試合が始まると、ハリーと因縁のあるプロモーターのシスコに買収された審判の不正で、劣勢に追い込まれるドールズ。しかし、彼女たちは実力と諦めないガッツで何度も立ち上がり、死に物狂いの乱闘や審判への直接攻撃でナイスファイトを見せる。彼女たちのその姿勢は観客たちの「推したい」気持ちを揺さぶり、会場全体を味方につける。最後は必殺技の回転エビ固めをダブルで決める。審判はカウントをしぶるも会場全体が叫ぶスリーカウントに根負けしてついにカウントをとり、勝利する!

アイリスとモリーという二人のしがない女子レスラーがリングで出しきる全力と、会場全体が彼女らを応援する「うねり」を撮った映像は、ストレートな映画の楽しさを雄弁に語る熱気と迫力に満ち溢れている。
セリフ回しもずっと小気味良く聞いてられるし、三人が、自分らの置かれた状況に応じて口論になったり、仲良しになったりするのも見ていられる。
ハリーがイカサマ賭博でしこたま儲けて、イカサマに気付いた用心棒を待ち伏せしてバットで撃退するシーンは笑える。こういうパターンはなかなか見れない。

主演二人の本物のレスラーさながらの演技にも拍手。役作りのエピソードとか詳しく聞ける媒体はないだろうか…。
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