空気人形の桜桃のネタバレレビュー・内容・結末

ファンタジーだから好き嫌いがあるかもしれない。
でも作中の街や住人の空気感は生々しいほどリアル。
観終わった後にじわじわと良さが込み上げてくるタイプの映画。

一番明確なテーマは｢自分にしか出来ない事はあるのか＝自分の存在意義とは｣だと思うけど、これを表現するためにラブドールを主人公にするセンスが凄い。
｢自分が生きている事に意味はあるのか｣って普遍的で難しくて寂しい問いだと思う。
そう考えると誕生日は自分の存在を無条件に祝って貰える素敵な日なのだと気付かされた。

終盤のレストランのシーンが切なくて泣いた。
あと、純一がのぞみにテープを貼るシーン。
空気が抜けた事に動揺したり問い詰めたりしない姿勢が純一の人間性を表している気がした。
のぞみに空気が抜けることについて執拗に尋ねていることから、おそらく純一には自殺願望があるのだろうと思った。

ペ・ドゥナの整った顔や肢体が本当に人工物のように見えた。適役だと思う。
すごく綺麗なのに生気が無くて色気を感じさせない。

少し落ち込んでいる時にまた観たい。
自分に自信がない人ほどこの映画は沁みると思う。