年度: 2009 国: 日本 公開日: 2009/9/26 『誰も知らない』『歩いても 歩いても』是枝裕和監督が9年間温めた最新作
いやぁ、秋にふさわしく心に染みいるイイ作品です。
最初から最後まで5回くらい泣いたかなぁ。
「人に恋をしてしまった人形の話」という程度の前知識で行ったんですが、空気人形ってつまりアレです。「ラース」の彼女と同じお人形です。気づいた時「ああ!空気人形!!」と思わず膝を打ちましたよ(笑)
ただ、ラースのそれが人形の「存在」だけを焦点にしていたのに対して、こちらのほうは本来の人形と人間が交わす「性」というものに、生々しいほどにきちんと向き合っているんです。難しいモチーフで攻めきったなぁ・・・。これは+15にないとできない描写よね。その思い切りに感服です。
ところどころに繰り返し出てくるモチーフや行為が、重要なメタファーであったりするので、後で思い出して、ああ、あれはこういう意味だったのかも・・・と反芻してはまた涙。
誰でもに取って代わられる代替、
他者との関わりを持ちながらも、どんどん自分の存在が希薄化していく関係性っていうのは、 現代における「製造業派遣」だったり「フリーター」だったり、「援助交際」だったりっていうもの暗喩なんだろうなぁ・・・
とかね。
切なすぎる結末でしたが、そんななかでも希望を見出せる最後に、命のつらなりを重ねたかったんだろうな。
正真正銘のラブストーリーなんですが、「人の生き方」に関する話としても面白いと思うので、ぜひ。付き合い始めのデートと言うよりは、お互いをよく知った後で観るべき一本かな。
オススメ。
http://www.kuuki-ningyo.com/index.html
2009年10月11日 00:07