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空気人形のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
4.4
心を持ったからこそ生まれるときめきや喜び、それは生の喜びなんだけど、生きるということは、孤独や痛みも併せ持つ。
空っぽな人形に心を持たせる事で、生きる事や自分とは、愛とは何かを問いかけた作品だったと思います。

初めて自分の意志で動き、新しい世界を身体いっぱいに感じ、恋をしてときめく、そんなふわふわとした喜びに満ちた人形と、都会に生きる人達の孤独や虚しさが対照的です。
そんな空っぽで寂しい人々は、ごく普通にどこにでもいるし、自分の中にもいるのかも。

空気とはからっぽでもあり、自分を満たす命でもある。
息を吹きかけて飛ばしたタンポポの綿毛が、辿り着いたそれぞれの場所で新たな命を生み出す、悲しいラストは命と愛の繋がりとして感じられ、劇中の詩と絡んで切なさとあたたかさに満ちていました。

それにしても美しい。
ぺ•ドゥナの醸し出す空気と、音楽、映像が完璧に融合し、ファンタジーでありながらも鋭く人間性をえぐる描写に是枝ワールドを感じました。
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