うたまるさん

藁の楯のうたまるさんのレビュー・感想・評価

藁の楯(2013年製作の映画)
3.8
ラストはアレじゃない…。

なかなか見応えのある作品だと思います。
原作はビーバップハイスクールの原作者でもある木内一裕氏。監督は十三人の刺客の三池崇史。
まぁ、このお二人が関わっているということはきっと男臭い物語になるだろうと思いながら観はじめました。

ストーリーは、ある日財界の大物である蜷川隆興氏の孫娘が暴行の上惨殺される事件が起き、容疑者はすぐに同様の事件を起こして服役していた清丸国秀が仮出所中に犯行に及んだものと判明した。

自分の孫娘の命を無残な形で奪われた蜷川は自分の資産を使い、清丸を殺した者に10億円を支払うとあらゆるメディアを通じて発表する。
確かに、ここまでならその10億円でヒットマンを雇えばいいとなってしまうのだが、彼のアイデアは殺すことだけでなく、社会的にも民意に許されるように2つの条件を提示する。
1つは、殺した者は殺人罪または傷害致死罪として有罪判決を受けた者。これは社会的制裁を受けることも覚悟の上で実行してほしいとの考えから。
もう一つは、国家の許可を得た上で清丸を殺した者。一瞬これはどういう意味?となりますが、つまり警察などがやむを得ない状況により射殺しても構わないというケースを指す場合です。

うわぁぁ、こうなると大変です。
いろんなメディアでこのニュースを聞きつけた国民やそれを連行、護衛をする警察官や機動隊までが、清丸の命を狙うのですから。
そんな危険な状況の中、彼を福岡県警から警視庁移送しなければならない。
そこで急遽警視庁と県警の精鋭メンバーで護衛をつける。それがたったの5人。

しかも、護送される清丸はクズの中のクズ。誰一人として彼を守ってあげようという気持ちになれない程の外道っぷりを演じた藤原竜也の熱演は圧巻の一言。

さぁ、果たして清丸は東京の警視庁まで無事護送されるのか!それとも誰かが10億円を手にすることになるのか!

まぁ、とにかく清丸がとにかく酷い奴。
それを命をかけて守ろうと護衛するSPの銘苅を演じる大沢たかおからも目が離せません。
また、銘苅の後輩でシングルマザーの白岩を熱演する松嶋菜々子も常に張り詰めた緊張感をしっかりと演じていてすごくいい!

もう、このピリピリ感がこの作品の面白いところ。三池崇史監督の作品はこの緊張感がいい。
だがしかし、十三人の刺客と同じで最後のラストスパートが私の好みと違うんですよね…。

この先は、ネタバレになるので、観てない人はここまでにしてね。

この映画で私が求めるラストとは、白岩を死なせる必要があったかな〜。
白岩の死の後、一人残された息子と銘苅が笑顔で出会い、きっと彼の希望のキャッチボールをするのかな⁉︎というシーンで終わるのだが、息子の屈託のない笑顔がうーむアレが正解?それなら白岩と息子が銘苅の墓前で手を合わせた方がまとまるんじゃないの⁉︎
まぁ、あくまでも私の個人的な感想なんですけどね。

そんなこんなでこの点数ですが、三池作品にたまーにありがちな空回りのおふざけがないのでとても観やすい作品ですよ。オススメです。
うたまるさん

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