海

君と歩く世界の海のレビュー・感想・評価

君と歩く世界(2012年製作の映画)
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錆と骨。痛みも、古びていくだけのからだも、過去を覚えておくために与えられたものなんだって、今は思うの。頭とかじゃない。このからだ全部で、水を掻いて、あなたを探す。人は空を飛ぶことができないから、わたしたちは、決して遠くへは行けなくても、泳ぐことに固執する。鮮明にこの目に映る世界と、かすんでよく見えない想いの間で、泳ぐふりをして浮かんで、別の人のふりをして振舞って、あなたに見せるべき本当のわたしの姿を探す。うしなわれたすべてのものと共に、わたしとあなたのいのちは、変遷してる。確かに感じてる、波をとどめる腕、風を揺らす手、あなたの腰に押しあてた内もも、その先を探す指先、そこに生じる痛みと寂しさに、わたしたちは失ったすべてを左手に思い出し、受け取ったすべてを右手で手繰り寄せては、きつく結び直して、愛と名付けるの
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