地底獣国

友は風の彼方にの地底獣国のレビュー・感想・評価

友は風の彼方に(1986年製作の映画)
3.4
ハードボイルドな部分と(主に女性絡みの)軽薄な部分との齟齬が激し過ぎる情緒不安定な作劇に、作り手の精神状態が心配になるほどでしたが、思い返してみれば「男たちの挽歌」も割とそういう感じはあったしこの頃の香港映画としては通常運転?


タイムラインが「レザボア・ドッグス」で盛り上がっている中、敢えてこちらをレビュー。


そりゃまあ、見比べるとタランティーノの構成力や台詞回しの上手さとかが際立ってしまうし、役者陣もユンファ大兄以外は見劣りしちゃうんですけどね(ダニー・リーも良いんだけどカイテルの「ん゛〜っ‼︎」には負ける…ってこればっかりや)。言い訳しておきますと自分のスコアがそんなに高く無いのは、レザボア先に観たからであって、順番逆だったらもっと上がってた筈‥

上記のようなノリ辛い部分やツッコミ所があるとは言え、香港ノワール黎明期にして既に「ブロマンス」「潜入捜査官と上司の苦悩」「二丁オートマチック」「メキシカンスタンドオフ」といった、後世の映画に頻出する要素が詰まっているエポックメイキング作品ですし、何より本作が存在しなかったらタランティーノの人生、ひいては世界中の映画やエンタメの在り方すら全く違うものになってた可能性が大いにあるわけですよ。

という訳でタラ(とそのフォロワー達)は毎年リンゴ・ラムの命日には彼の墓に詣でるべきで、それが出来ないのであればせめて香港のある方角を向いて線香を上げなあかんのと違いますやろか?
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