このレビューはネタバレを含みます
確かにタランティーノリスペクトにあふれた映画だった。
出オチのような「ダイヤモンドは永遠に」、いきなりのサニー千葉のすし職人、往年の俳優たちを意外な配役でリサイクル。
笑ってしまうほど、テレもなくよくやるなと。
そのタラ愛が突き抜けたほどでもなく、優等生で終わった感は少しもったいない気もする。
いまもなおゾンビ映画を愛し続ける映画人がいるように、タランティーノフォロワーはこうした作品を一本でも作りたい、と願っているはずだ。
一作家に過ぎないはずのタランティーノが「タランティーノ映画(仮)」というジャンルになっているとしたら、それはすごいことであるし、物足らないけれども、それを目指した本作品は大切な一本ともいえる。
旭日旗、能面、刺身など、昔からどこかしら勘違いされた日本文化が、いまや別の面白さを醸すまでになっている。
強盗にそんな外れやすいヒモでw?と心配するような能面を選んでいるこ
とに苦笑するが、能面にはきちんと名前があることを説明したり(おかめはご愛敬だが)、フグをきちんと発音させなおすなど、日本文化への敬意が感じられ、それに傾倒するキャラの性格などへと反映、昇華されている。
しかし、大いに誤解されているようにも思えるタイトルの女体盛りw
勘違い日本文化のお墨付き係とみられていそうなサニー千葉も「皿はしゃべるな」と最初に言っているので、劇中ほとんど寝っぱなしスシガールの設定も筋は通ってるとはいえる。
が、それでもちょっとはなんかないと、あのラストはいきなりすぎる気もする。
あれはやはりソウからのアイデアだろうか。
あのお姉ちゃんが重要なキャラなんだから、ずっと映らないままだと脇役が最後全部持っていく感じで、ご都合主義になる。
総じて、ビジュアルとしては非常にインパクトあり、物語としても奇想あふれる面白そうな作品だった。
しかし例の思わせぶりなタランティーノ・ダイアローグを再現した前半1時間は飽きてしまう。
同じようなダラダラした会話劇なのに、なぜか引き込まれてしまうのが、タランティーノの才能だろう。