三隅炎雄

逢いたくて逢いたくての三隅炎雄のレビュー・感想・評価

逢いたくて逢いたくて(1966年製作の映画)
3.3
園まりが演じる大学生が、声の出なくなった人気歌手園まりの代役を務めるうちに、取材記者の渡哲也と互いに好意を持つようになる。『ローマの休日』のアレンジとして悪くないアイディアだと思うのだが、主人公の体験する芸能界があまり魅力的に描かれておらず(もう映画界にそう見せるだけの余力がないというべきか)、むしろ小沢昭一(何年留年してるのだ!)が仕切る大学のカンツォーネ・クラブの日常を追った方が楽しそうに見える。華麗なレヴューの楽しさがもっとあっていいし、園の芸能生活をサポートするドリフの笑いが泥臭すぎて、ずいぶん映画の足を引っ張っているように思う。
これに続く日活での園まり主演映画が『夢は夜ひらく』で、図書館に勤める主人公が日活ムードアクションの世界にさまよい込むといった話だから、内容的には似通っている。こちらにもドリフが出ているが、監督の野口晴康(博志)はずいぶん都会的な感覚で彼らを使っていて、映画もずっと洗練された仕上がりだ。
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