Yoshmon

バレンタイン一揆のYoshmonのレビュー・感想・評価

バレンタイン一揆(2012年製作の映画)
3.1
恵比寿ソーシャル映画祭にて鑑賞。

特定非営利活動法人ACEを介して、チョコレートの原料であるカカオの原産国「ガーナ」を訪れた高校生と大学生の女の子3名にスポットをあてた作品。

○ガーナで問題となっている「児童労働」

①住んでいる家から片道2時間をかけてカカオの農園まで行き、
②そこでガーナを収穫、
③素手で大きなナタを使ってカカオを叩き割りカカオの実を取り出し、
④それをカゴに入れて、
⑤20kg以上にもなる重量を頭の上に載せて、
⑥出荷先まで歩いて持って行く。
⑦これをだいたい一日3往復。

これをやっているのが、日本でいえば小学生の年齢の子どもたち。
この現状により引き起こされるのは、 子どもの教育の機会損失。

この現状の原因には、
①親の低水準の収入と
②親の教育の重要性に対する認識不足

この現状が続けば、ひたすら負のスパイラルとして現状が続くだけ。


○日本での「フェアトレード」の啓蒙活動

この現状を知った日本の女の子たちは帰国後、
ガーナで起きている現状を知らずにチョコレートを消費し続けている日本の消費者たちへ、途上国での児童労働等により不当に安価に取引されるものではなく公正な価格で、且つ継続的に取引をすることにより途上国の生産者の発展を支える「フェアトレード」の認知度を高めようと「バレンタイン一揆」として名付けてバレンタインのタイミングに合わせてフェアトレードのチョコレートを一緒に買おうと街頭に立って声を上げる。

しかしガーナのような途上国へ行ったことも無い日本の人たちにフェアトレードの重要性、必要性を理解してもらうことは非常に難しく。。。

作中では、3人の女の子に焦点が当たっているが、ボランティアやNPOの活動に興味のある学生には良くある場面をスクリーンを通して観ていた感じだった。

○付加価値あっての本当の意味での「フェアな」トレード

僕も学生時代にフェアトレードを推進している団体へ訪問したり、講演会へ参加したりして、ソーシャルビジネスをテーマとした卒業論文でもフェアトレードをすこし取り上げた。
正直に思うところは、「フェアトレード」という言葉が持つ意味には「かわいそうだから」とか「ボランティアとして」というような格差による立場の違いから生まれる行為のニュアンスが拭えないでいる。

物理的に裕福な環境に生きている私たちが本当にやるべきは、途上国の人たちが自立して生きていける知識・スキルを提供することである。
「途上国の人たちが作った製品だから」とか「かわいそうだから」ではなく、裏事情は問題とせずブランドだけで先進国と対等に戦えるだけのモノ・サービスを途上国から生み出せれば、それが本当の意味でのフェアなトレードである。

とは言ったものの、短期的には児童労働などの不当な利益を搾取している企業を撲滅する意味では、定期的に生産地やサプライチェーンの監査を行なって厳しい基準に適合している団体、商品にのみ国際フェアトレードラベルの商品への添付を認めるような国際フェアトレードラベル機構のような仕組みは有意義であるのも事実。

↑フェアトレードラベルの話は上映後にフェアトレード・ラベル・ジャパンの担当者の話を伺って知った話^^。またひとつ勉強。
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