けーはち

ロンドンゾンビ紀行のけーはちのレビュー・感想・評価

ロンドンゾンビ紀行(2012年製作の映画)
3.6
ロンドンの下町住民たちがゾンビにワタワタ立ち向かう。「ショーン・オブ・ザ・デッド」のような、ユルさを楽しむコメディ・ホラー映画。

★本作は登場人物に老人ホームの入居者が多数いて、「本人主観では超絶必死なのに第三者的に観るとノロノロ」みたいな状況がよく現れる。主観と客観の乖離の中に見える皮肉の効いた悲哀。

★下町でぶらぶらしているニートの主人公たちは、祖父母が住んでいる老人ホームが資金難で取り壊されるのを知り、銀行強盗を決行。通報されて籠城の最中に世界の様子は一変。ロンドンの地下から唐突に王家の墓が出現(?)、ゾンビ・ウィルスを伝播させ始めた。

★ユルユル映画のようでも、グロが入るところでは入るし、頭に金属の入ったゾンビとかは「ヒェーッ」ってなるし、バレットタイムなどの効果的な緩急づけ、視線誘導やカット割りなどの画面、映像表現は多彩でユルくないので、まったりしながらも惹かれる。老人たちが不自由ながらも武器を使いこなしゾンビをぶっ倒すシーンなどはすごく心地良い。

★赤ん坊もゾンビになる、船で街を脱出する、など過去のゾンビものへのリスペクトや、あるいはさらに古いホラーあるあるへの言及もあったりして、ところどころにゾンビ・ホラー愛が満ち溢れているユルさの上にもまとまり感のある小品。