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ロンドンゾンビ紀行のatomaのレビュー・感想・評価

ロンドンゾンビ紀行(2012年製作の映画)
3.5
原題は"Cockneys vs Zombies"で、その名に違わずコックニーのガキどもが銀行強盗を計画するも、実行の最中にゾンビ禍に巻き込まれるお話。(日本の予告編ではこの連中は「ボンクラ」と呼ばれていたが、だいぶん札付きではないか?)

後半では、主人公・アンディたちの祖父が経営するケアホームをゾンビから救うために合流し、ロンドン名物・二階建てバスを操り、クルーズ船でテムズ川に逃げ延びてEND。

祖父のケアホームは取り壊しの危機に瀕しており、銀行強盗もそれに対する対抗の意味があるのだが、ここには多分、ロンドンで進行していたジェントリフィケーションが背景にある。
こうした背景の元、強盗を働いた主人公チームと人質にとられた銀行員との間に緊張関係が生まれる。このセッティングを行う第一幕はタルく感じもするのだが、第二幕では、この緊張とその中で生まれる和解とが物語を引っ張っている。

オフビートなコメディ感を狙った会話シーンは全体につまらないけど、湿っぽいシーンが最小限で、サクッとみられるのは美点。また、予告編でもピックアップされてた、歩行器老人とゾンビとの追っかけっこは本当に素晴らしいアイデアで、やっぱりゾンビ映画の緊張感を決定するのはゾンビの動く速さじゃないよな、と得心。

ベビーカーに乗っていた赤ちゃんを、ゾンビだと分かった瞬間パントキックするのは、ゾンビ映画の歴史の中でもかなりの上位に来る悪趣味シーンではなかろうか?(24/4/20)
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