みてべいびー

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「貴い体液」
このユーモアのセンス大好きすぎる。今まで観たキューブリック作品でダントツに好きだ。不謹慎さが突き抜けてるとはいえ、どのやり取りも妙に現実味を帯びてて人間らしいから、一概にアホらしいと一蹴することもできない。巧妙でシニカルで知的なブラックコメディ。冷戦下にこの作品を作ろうという度胸がすごい、ひたすらに傑作。
ビジュアルが美しいのはもちろん、本当に役者が揃ってる。リッパー将軍のSterling Haydenの冷静ながらも狂気に満ちた目。すんごい筋の通ったことを言ってるかのようなノリでつらつらと自分の老いを共産主義社会のせいにする。糸口が見つからない問題の答えを他人や他の国家になすりつける様を見ていて、正直最近のどっかの大統領とその支持者たちを思い出した。リアル極まりない。
タージソン将軍のGeorge C. Scottの演技もよかったなぁ。ずっとガム噛んでてダミ声で、時々興奮してすっ転んだりするのもかわいい。多分個人的に一番好きなキャラだった。あとコング隊長の訛りもいい味出してたね。爆弾と共に落ちていく画は名場面。
そして一人三役のPeter Sellers。
President: “I will not go down in history as the greatest mass murderer since Adolph Hitler!”
General Turgidson: “Perhaps it might be better, Mr. President, if you were more concerned with the American people, than with your image in the history books.”
っていうやり取りがツボだった。あと世界滅亡の危機に瀕してるって時に、国家首脳間の電話の内容がめっちゃほっこり系なのもジワ。
でもやっぱDr. Strangeloveのキャラの濃さには勝てないよね〜反骨精神旺盛な疼いちゃう右手面白すぎてしんどい。つい大統領を総統呼びしちゃうのも笑うし、立てちゃう件もシュール。極めつけは最後のモンタージュの”We’ll meet again”の選曲、イジワルでシビれます。
みてべいびー

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