HAYATO

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのHAYATOのレビュー・感想・評価

4.1
2023年470本目
スタンリー・キューブリック監督の代表作の1つ
今まで見た映画の中で、1番タイトル長いかも。
東西冷戦真っ只中に制作されたブラックコメディ
米国空軍・リッパー将軍の指示でソ連に向けての核攻撃が開始され、英国空軍・マンドレーク大佐が爆撃機の撤退を説得する一方、ソ連は核爆発によって誘発する「地球上のすべての生命を滅ぼす兵器」の存在を明らかにする。
ピーター・セラーズが、英軍大佐、マフリー米大統領、ストレンジラブ博士の3役を見事に演じていて、見終わるまで3人とも同じ役者さんだとは気付かなかった。
キューバ危機の直後、偶発的に核戦争が勃発してもおかしくなかった時代の作品だからこそ、強い反戦へのメッセージを感じる。
異常な反共思想に取り憑かれたリッパー将軍や、一気にソ連を攻め滅ぼそうと大統領に進言するタージドソン将軍、歓喜の雄叫びをあげて爆弾にしがみついて落下するコング少佐など、狂気的かつユーモラスな登場人物が揃っている。
タイトルにもなっているストレンジラヴ博士は強く印象に残り、大統領を総統と呼んでしまったり、ナチス式敬礼をしようとしたりと、抑えきれぬナチスへの忠誠を露わにしてしまう姿が面白い。
自衛のためのはずの戦いが、いつしか相手を破滅させるための戦いになってしまう様子は、リドリー・スコット監督の『ナポレオン』の物語に通じる部分がある。
人間の愚かさを痛感させられる作品だった。
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