ドキュメンタリー映画としての演出が斬新。3DではなくDVDで観たので、その凄さは半減だったと思うが、それでも素晴らしかった。
ナレーションや本人のセリフが全くないのに、記憶を失ったミュージシャンに何が起こったか、そして今、何が起こっているのかを伝えきる映像手法がクール。
押し付けがましさとか、お涙頂戴の説教臭さもなく、それでいて、彼の苦悩が彼の音楽と共に染みてくる。
空気の振動を着色したかのような独特の躍動感ある音楽が、彼の全てであり、映画の全てだった。
タイトルどおり、フラッシュバックする過去の出来事と彼の音楽性が、非常にマッチしていてステキ。
人間というものは、つくづく、過去を認め、未来に希望を抱きながら生きている生き物だという事を痛感させられる。
しかし、過去を失ってしまったとき、その時計の針を進める事ができるかどうか？というテーマは重く、身につまされるものがある。
とても秀逸なドキュメンタリー映画。
