和桜

明日の空の向こうにの和桜のレビュー・感想・評価

明日の空の向こうに(2010年製作の映画)
3.8
旧ソ連の孤児三人が、国境を超えれば何かが変わるはずだと信じてポーランドを目指す。盗みどころかお酒やタバコも吸うし、一番下の子は大人達に笑顔や褒め言葉を振りまきながら食べ物やお金を頂戴していく。そうした大人びた姿とは対照的に些細なケンカや下の子への命令、テディベアを弟のように大事にしたり感情をぶつけたりする子供らしい面も沢山ある。
前半はその道中での子供たちのやりとりだけど、後半から大人に囲まれ始め彼らが子供でしかないことにますます重みが加わっていく。冒険が現実に塗り替えられ始め、この切り替えが絶妙。大人側の形式的な問題や、「王様になって祖国へ戻るんだ」という子供らしい夢。全てを祝福するかのような光の使い方と、現実との対比。とっさに出てくる本音や、ちょっとしたことでの感情の移り変わりもハッとさせられる。

ただここまで子供に頼りきった映画だと、気になるのは演じた後の彼ら自身への影響。タバコや酒が手放せないような、依存症じみた動作の数々は少し気がかり。まだ6歳くらいの子供だけに演技だとしても少し危うさが混じってると思う。あと日本が製作に入ってるのはどういう経緯なんだろう。
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