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さよならドビュッシーのodyssのレビュー・感想・評価

さよならドビュッシー(2013年製作の映画)
3.5
【清塚信也にピアノを教わりたい】

原作はミステリーらしいのですが(私は未読)、この映画、むしろ火事で重傷を負った少女の再生物語として見るべきでしょう。

物語の根幹をなすトリックというか・・・・・(ネタバレになるので伏字)は、早い段階で分かってしまいますし、少女を狙う何者かの陰謀もあまり利いていません。

むしろ、大火傷をしてピアノを弾けなくなった少女と、彼女を指導する青年ピアニストの師弟の物語として、この映画は優れています。

ここで特筆すべきは、青年ピアニストを演じる清塚信也です。失礼ながら決してイケメンではないけれど、傷ついた少女に寄り添うようにして、しかし芸術とは何か、ピアノ演奏で本当に大事なものは何なのかを忘れずに指導していく様子は、観客を感動させずにはおきません。こんな先生に習えたら誰でもピアノが好きになるのは、と思えてきます。

他方、橋本愛はどうでしょうか。これまでのアイドル的なあり方を踏み越えた演技を期待したのですが、半歩くらいしか出ていないかな、というところ。これは監督や撮影する側の問題もありそう。いつまでもコケシみたいな髪型を続けるのではなく、大人の女になる予感を表現して欲しいもの。過去を振り返る短い映像では髪型の工夫も見られましたが、全体としてコケシからの脱却はなされていません。次作に期待するしかないのでしょうか。
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