ポルりん

さよならドビュッシーのポルりんのレビュー・感想・評価

さよならドビュッシー(2013年製作の映画)
2.4
■ 概要

「このミステリーがすごい!」第8回大賞を受賞した中山七里の同名小説を、「告白」「桐島、部活やめるってよ」の橋本愛主演で映画化。


■ あらすじ

『ピアニストを目指す16歳の遥は、両親や祖父、従姉妹らに囲まれ幸せに暮らしていたが、ある日火事に巻き込まれ、ひとりだけ生き残る。
全身に火傷を負い、心にも大きな傷を抱えた遥は、それでもピアニストになることをあきらめず、音大生・岬洋介の指導の下、コンクール優勝を目指してレッスンに励む。
しかし、周囲で不吉な出来事が続発し、ついには殺人事件まで起こってしまう。』


■ 感想


本作公開当時・・・アホな友人が、



本作のタイトル「さよならドビュッシー」の「ドビュッシー」を作曲家の名前ではなく、射精音だと思い込む。




勝手に本作を、橋本愛主演のポルノ映画だと勘違いする。





濡れ場が一切なく、それどころか普通のミステリー映画だった。





「金返せぇ!!!」と大激怒!!!





偉大な作曲家を勝手に射精音にすんじゃねーよ!!!!

てか、「ドビュッシー」ってどんな射精音だよ!!!

せめて「ブピュッ!!」か「ビュルル!!!」だろうが!!!

まあ、実際はそんな音出ないけどな・・・。




とまあ、本作は橋本愛の濡れ場などはなく普通のミステリー作品である。

橋本愛という女優は、ミステリーやホラーが良く似合い素質のある役者だと思うが、本作は橋本愛の素質を活かしきった作品となっている。


また、橋本愛のピアノの先生役に、本職のピアニストでもある清塚信也をキャスティングを添えている。

本職のピアニストが演じているという事で、"手元のみ別撮り"や"演奏シーンで手元だけが映らない"といった不自然がなくなるので、物語や演奏シーンに説得力が生まれている。

ただその分、橋本愛が演奏シーンで、鍵盤を叩いていないのが分かりやすくなってしまい、嘘っぽいカットになってしまっているが・・・。


演出に関しても、橋本愛が鍵盤を叩いていない事以外は特に不満はなく、被写体との距離感や構図も工夫されており、最後に橋本愛とあるキャラクターが入れ替わるシーンは、素晴らしく思えた。


演技・演出・編集は、特段不満はないのだが、シナリオ・・・特にミステリー要素に関しては不満しかない。




以降ネタバレ






























■ ネタバレ


冒頭の火事に巻き込まれ、ルキアが死に遥だけが生き残ったと思われていたが、実際は逆。

実は生き残ったのはルキアの方であり、遥は火事で焼死してしまったのだ。



『生存者は、全身大火傷で顔が判別できないような状態になっていた。

そこで遥の母親は、皮膚に張り付いてたTシャツの柄が遥のものだと気付き、本来の生存者はルキアなのに、生存者を遥と判断してしまったのだ。

因みに、遥とルキアは火事の当日Tシャツを入れ替えてた。』



以上の事から、このような勘違いが起きてしまったのだが、幾ら何でも無茶苦茶である。

遥とルキアは性別が一緒とはいえ、骨格から色々違うだろう・・・。

そもそも、歯牙鑑定をすれば一発で分かるだろうし、DNA鑑定など幾らでも本人確認をする手段はあるはずだ。

もし歯型も残らないほど損傷が激しくて、歯牙鑑定がそのものが出来ないといった意見もあるかもしれないが、そんな状態で生き残っている人などいるのだろうか・・・。


それと、現代の医学技術が進歩したと言っても、全身大火傷で顔が判別できないような状態から、完全に同じ顔に戻すことなど可能なのだろうか・・・。

しかも、火傷の跡や手術の跡を一切残さないで・・・。


全身大火傷で顔が判別できないような状態になり、死人と生存者が入れ替わるといったアイデアは良いのだが、説得力が皆無である。

いっそのこと、舞台を現代劇ではなく、医学技術がそこまで進歩していないような時代にすれば、ある程度説得力は増すと思うのだが・・・。


まあ、ルキアが大人しく遥のフリをしていること自体が変なんだけどね。



あとね・・・物語の序盤で新条というキャラクターが、


新条「遥ちゃん・・・皮膚に張り付いていたシャツの模様にお母さんが気付が付いたから、君だって分かったんだよ。そうじゃなかったら君だって分からなかったよ。」


と言ったセリフを放っているが、スタッフはどんな意図でそんなセリフを入れたのだろうか・・・。

恐らく秀逸な伏線のつもりなのだろうが、バレバレもいい所だ。

このセリフ一つで生き残ったのは遥ではなくルキアなんだと分かってしまう。

予告編でやたら「衝撃の真実」をアピールしてるから尚の事だ。


アイデア自体はいいんだけど・・・残念だ・・・。
ポルりん

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