かじられる

undoのかじられるのレビュー・感想・評価

undo(1994年製作の映画)
3.7

「緊縛」なんて言葉を打つ日が来るとは…

岩井俊二監督デビュー作。トヨエツ若い!今は立派に枯れてきてるのに。

妻である萌美は夫婦間に吹き始めた隙間を埋めるため、色々なものを糸でぐるぐる巻きにして夫にアピールします。リンゴとか亀とか。

なんか観ていて切ないんですよね。

普通の会話にも夫の由紀夫はそっけないし、愛情たっぷりのキスも受け身の一方。愛する力やバランスが違い過ぎて。「気付くんだ由紀夫!」とも叫びたくなる(叫んでません)

萌美はきちんと縛ることで確固たるものを手にしたかったと思うし、されたかったはず。

だからどんなに由紀夫にキツく縛られても死んだような目でもっとちゃんと縛るよう訴える。足りないキツさが夫婦間の距離を示している。

これ身近に置き換えると凄く分かりやすいです。

欲しい物に対して注ぐ視線は緊縛に近いし、好きな人にだってそう。覚める時はほどく感じだし。そんなこと知らない内に毎日繰り返してるんじゃないかな。

昨日も今日も明後日も。

映像美ははや健在でテーマも分かりやすく、45分なので岩井作品の入門用としてもオススメです。

では、ほどきますね。
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